「境遇に柔順である」と「あるがまま」
四期は治療の最後の仕上げですが、「日常生活訓練期」として、森田博士は、ある治療期間をつくっておられます。私は、「そのときは一応のことはできたから、それを練習というか、日常生活のことをしながら、基本的なことを覚えたかどうか確かめて見られる」というくらいに思っていました。確かにそれはそれであるのですが、もう一つ問題があります。先生は四期にも二つの治療目標を掲げておられます。一つは、皆さんよくご存じの「境遇に柔順である」「あるがまま」。「『あるがまま』を体得して『あるがまま』で日常生活を訓練しなさい」とおっしゃっています。
もう一つは、「純な心の体得」ということをおっしゃっています。「純な心」については、森田先生はいろいろおっしゃっているのですが、ではどうすればいいかということについては、あまりふれられていません。この二つの点が第四期の大事なポイントです。
二つのうち一つ、「境遇に柔順である」「あるがまま」については、これまでのトレーニングをずっとやればいいということですが、森田博士は「おかれた境遇で、これまで学習してきた森田療法のポイントを実践に移す。すなわち『自発的に』『好き嫌いを言わずに』『目的本位』『事実本位』で行動する。そして『できたこと』に目を向けて、できないことはおいておく。『小さな成功の喜びを反復体験』しなさい。そうすれば『死の恐怖』は薄れて、『生の欲望』に従った行動ができる」とおしゃっています。
これは「臆病で卑屈な自分」を「勇気と自信のある自分」に変える、言い換えますと、「自尊心」「自我尊厳」を回復させる治療なのであります。これは森田先生が、「これまで体得した行動を繰り返しやれば自尊心が取り戻せる」と言われていることです。

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