死の恐怖から生の欲望への転換
神経症の人は、わかっていても、やはり現実の自分は認められない、だめな自分は困ると思うわけです。森田博士のことばによると、それは「欲望」のためです。「欲望はこれを諦めることができぬ。死は恐れざるを得ず」と言っています。「これは絶対的なものである」と。それをどう克服するかということですが、その「死の恐怖」を「生の欲望」にどうして変えるか、それが森田療法の持っているすばらしい点であろうかと思います。その方法は三期で教えているわけですが、その前に二期があります。
二期で何をするのかといいますと、そういうことができるようになるための準備段階であるということになります。二期での目的は、「物事に対処する基本的な態度を身につける、養成する」期間であると思います。現実的にどうするかといいますと、これも二つあって「行動の自発性、自主性」みずから行動するということと、「気分本位の打破」。この二つを森田先生は治療の二期にあげておられます。その理由は、大体神経症の人というのは受身的で消極的で、「石橋を叩いて渡らない」わけですけれども、これを「能動的に、積極的に行動しましょう」といい、その訓練をします。もう一つは、「気分本位を打破する」ことです。先生は、まず「『事実本位』『目的本位』で行動しましょう」といい、その訓練をするわけです。
自分で「よく考えて、積極的に、しかも気分に流されずにがんばる」ことを、簡単な作業療法で始める。こういうことができるようになる。二期の卒業試験といいますか、こうなれば卒業だという基本的姿勢は「恐怖突入」の心構えができたときということです。そうすると、あなたは二期の卒業生となるわけです。三期では、「死の恐怖」を「生の欲望」に変える訓練をします。いわゆる「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざに示されるかと思いますが、まず、みずからその中に飛び込んでいくという心構えがいる。そこで初めて、「死の恐怖」を「生の欲望」に変えるというトレーニング、訓練ができるということであります。

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