こうして症状から解放された(論文)
| エッセイ 森田博士の思い出 (5)/ 河原 宗次郎 (森田入院療法体験者、額縁商・神田「草土舎」創業者、1901~2002) |
| デリケートな神経の持主 私たちは入院中、先生から日記指導をしていただきました。その日記に先生は赤字を入れてくれます。それを見ていると、先生は私たちを見ていないようで実によく見てくださっていることがわかりました。先生自身が神経質症であったからこそ、それができたのであろうと思います。 ある日、私はノコギリの目立てをしたことを日記に書きました。先生は赤字で、「ノコギリの目立てはしてはいけない」と書いて戻してくれました。あくる日、その赤字の箇所が消されているのに気がつきました。 ノコギリの目立てはむずかしく、素人がこれをやるとノコギリを駄目にしてしまう。そこで、先生は素人がむずかしいことをするものではない、注意をしてくれたのです。しかし、私は額縁屋であり、ノコギリを使ういわば専門家です。そのことを先生は思い出して、日記の赤字を消したのだろうと思います。 ことほどさように、先生は細かいところに気のつくかたでした。その人の素質、性格、養育環境、職業などを熟知したうえで、指導していたのです。デリケートで細かい神経の持主であったから、森田理論をうちたてられたのではないかと思います。
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